キーパーの気持ち

僕は運動おんちだ。今は別にどうでもいいと思ってるけど。

小学校のころ、僕らの学年の中心層は、運動神経がいい子たちだった。
サッカーでもバスケでも野球でも、どんなスポーツをやっても
うまい人たち。

僕は、野球では3年間玉拾い、バスケではボールを持ったら
すぐにパス。そもそもドリブルができない。

でも、サッカーは好きだった。フォワードで点を決める
ことはできそうになかったけど、ディフェンダーで、
うまい人の攻撃を止めることはできた。
唯一、僕が彼らにスポーツで対抗できる種目だった。

でも、なぜか僕はキーパーをよくやらされた。
多分、体育の授業のときに、
思いっきり強いキーパー真正面のシュートを、
がっちりキャッチしたときからだと思う。
キーパー真正面のシュートなんて、いくら威力があっても
イージーボールだ。キーパーは動かなくていいんだから。
そこでみんなが勘違いした。あいつはキーパーがうまいって。

はっきりいって、キーパーなんてつまらないし、
点を取られたら全部自分の責任になる。
カウンターでこられて、ディフェンダーが
あまりいない状況で点を決められても、
なんか自分が悪いような気分になる。

熱くなってるやつなんかは、「おめーらちゃんと守れや！」
とかいって文句をいう。

自分に言われたわけじゃなくても、なんか傷つく。
別に全員がやりたくてやってるんじゃないし、
サッカーが苦手なやつもいるのに。

やっぱり、点を決められるのはいやだったから、
僕は少しキーパーの勉強をして、守備位置とか
相手がこうきたらこういくとか身につけた。
そのかいあって、僕のキーパーの腕は少し上がったけど、
よけいにキーパーをやらされるようになってしまった。

中学に入っても、やっぱりキーパー。

なぜか、中学までの僕を知らない人ばかりが増えた高校でも、
キーパーばっかりやらされてた。
もう、2．2試合に1回はキーパーって感じだった。

はっきり言って、僕よりキーパーがうまいやつなんかたくさんいる。
明らかに僕よりうまくキーパーやるやつがうまいプレイを
しているのに、僕がほとんどキーパーだった。

みんな僕を便利なキーパー屋として使ってたんだろな。
やる気ないやつはみんな責任逃れでキーパーを
やりたがらないし、うまいやつは、点を取ることに
夢中になってるから、キーパーなんてやろうとしないし。

キーパーは特殊なポジション。
体はつかれないけど、一番つまらなく、一番大変なポジション。
でも、たまにやると新鮮で面白いと思う。

みんなキーパーは交代交代でやろうね。
そしたら、みんな楽しくサッカーできるはずだから。