こうして、俺たちは夏畑に向かうことになった。俺は昨日残業で夜遅かったんで、出発してしばらくしてから寝た。星野と後藤は、夏畑についてからの予定を話し合っていたみたいだった。で、夏畑にはいったところで起こされた。
「おはよう、坂口君。よく眠れた。」
「あー、うん。おはよう。もうついたのか。」
「もうついたのかじゃねえよ。お前、こっちは5時間ひたすら運転してつかれてんだぞ。」
「お前が運転するっていったんだろ。俺は昨日残業で遅かったんだ。勘弁してくれ。」
「まあいいけどさ。とりあえず、もうすぐ昼だし、伊勢探しの前に飯食いに行かねえか。おれ腹へってさ。」
「そうだね。じゃ、どこいこうか。と、いってもこの辺の店ぜんぜんわかんないな。」
「あー、めしならあるぞ。ここに。」
「は、何言ってんだよ。」
「あーっと、弁当持ってきたんだ。あー、直子が持ってけっていうからさ。うん、お前らのぶんもあるぞ。」
「ああ、弁当か。うん、嬉しいけど、それ、あのさ、松井さんが作ったやつだろ。」
松井ってのは、彼女の旧姓だ。
「うん。いいにくいけどさ、あの、松井さんの料理って、その、あれなんでしょ。」
大学時代に直子が弁当を俺に作ってきたとき、後藤にからかわれ、ちょっと食べられたことがある。そのときの後藤は、何も言わずに弁当を返した。俺も一口食べてみたけど、けっこうな味がした。目玉焼きの裏を見てみると、思いっきり真っ黒だった。
「いや、そりゃあのころはな。でも、あいつも上達したんだぜ。」
「うーん、そういわれてもな。せっかく夏畑にきたんだからな。」
「いや、でも、うーん。」
「なんだよお前ら。俺は食うぞ。お前らも一応見るくらいはしてみろ。」
いつもはひやかされるのを嫌がってるけど、なんかあいつのことをバカにされるのはくやしい。あいつはがんばってるんだ。
「ほれ、どうだ。」
「見た目はまともだな。」
「うん。普通においしそうだね。」
「だろ。だからくってみろって。ほんとうまいから。」
「わかった。食べてみるよ。」
星野は、おそるおそるハンバーグを一口とって食べた。
「あ、おいしい。さめてるのに外はかりっと、中はジューシーに出来てる。これなら、店でだしてもいけるレベルだよ。」
「ほんとかよ。じゃあ俺も。あ、うめえ。これはいいわ。」
「ほれみろ、お前ら。バカにすんなよ。」
「ごめん。これはほんとおいしい。松井さん、がんばったんだね。」
「俺もごめん。それにしても、あそこからここまでになるとは。たいしたもんだな。」
「わかればいいんだよ、わかれば。じゃ、食おうぜ。」
そんなわけで、俺の、いや直子の弁当は大好評。三人とも、一口残らず食べた。で、とりあえずこのあとは、伊勢の勤めていた会社に行くことにした。伊勢の手がかりが一番ありそうな場所だからだ。電話番号は星野が調べてきていたため、電話した。急な話だったけど、とりあえず話をきいてくれることになった。
「おはよう、坂口君。よく眠れた。」
「あー、うん。おはよう。もうついたのか。」
「もうついたのかじゃねえよ。お前、こっちは5時間ひたすら運転してつかれてんだぞ。」
「お前が運転するっていったんだろ。俺は昨日残業で遅かったんだ。勘弁してくれ。」
「まあいいけどさ。とりあえず、もうすぐ昼だし、伊勢探しの前に飯食いに行かねえか。おれ腹へってさ。」
「そうだね。じゃ、どこいこうか。と、いってもこの辺の店ぜんぜんわかんないな。」
「あー、めしならあるぞ。ここに。」
「は、何言ってんだよ。」
「あーっと、弁当持ってきたんだ。あー、直子が持ってけっていうからさ。うん、お前らのぶんもあるぞ。」
「ああ、弁当か。うん、嬉しいけど、それ、あのさ、松井さんが作ったやつだろ。」
松井ってのは、彼女の旧姓だ。
「うん。いいにくいけどさ、あの、松井さんの料理って、その、あれなんでしょ。」
大学時代に直子が弁当を俺に作ってきたとき、後藤にからかわれ、ちょっと食べられたことがある。そのときの後藤は、何も言わずに弁当を返した。俺も一口食べてみたけど、けっこうな味がした。目玉焼きの裏を見てみると、思いっきり真っ黒だった。
「いや、そりゃあのころはな。でも、あいつも上達したんだぜ。」
「うーん、そういわれてもな。せっかく夏畑にきたんだからな。」
「いや、でも、うーん。」
「なんだよお前ら。俺は食うぞ。お前らも一応見るくらいはしてみろ。」
いつもはひやかされるのを嫌がってるけど、なんかあいつのことをバカにされるのはくやしい。あいつはがんばってるんだ。
「ほれ、どうだ。」
「見た目はまともだな。」
「うん。普通においしそうだね。」
「だろ。だからくってみろって。ほんとうまいから。」
「わかった。食べてみるよ。」
星野は、おそるおそるハンバーグを一口とって食べた。
「あ、おいしい。さめてるのに外はかりっと、中はジューシーに出来てる。これなら、店でだしてもいけるレベルだよ。」
「ほんとかよ。じゃあ俺も。あ、うめえ。これはいいわ。」
「ほれみろ、お前ら。バカにすんなよ。」
「ごめん。これはほんとおいしい。松井さん、がんばったんだね。」
「俺もごめん。それにしても、あそこからここまでになるとは。たいしたもんだな。」
「わかればいいんだよ、わかれば。じゃ、食おうぜ。」
そんなわけで、俺の、いや直子の弁当は大好評。三人とも、一口残らず食べた。で、とりあえずこのあとは、伊勢の勤めていた会社に行くことにした。伊勢の手がかりが一番ありそうな場所だからだ。電話番号は星野が調べてきていたため、電話した。急な話だったけど、とりあえず話をきいてくれることになった。
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