タイトル 18

2005年4月8日 連載
「カツッ、カツッ。」
うーん、ん、何だ、この音。
「おい、起きろ、起きろって。おい。」
誰だ、何か声がするぞ。
「坂口君、この問題やってみなさい。」
へ。
「こら、坂口君、起きなさい。」
大きな声で目が覚めた。ん、あれ、ここはどこだ。俺は確かジュースを買いに行って、それで。
「やっと起きましたか、じゃあ、この問題の答えは何ですか。」
「え、あれ、あら、えーっと。」
「もういいです。3年生にもなってそんなことでどうするんですか。はい、次。じゃあ竹下君。」
なんだ一体。問題を解けってか。何の。ん、あれ、黒板。ここは、教室。え、まさかここは学校。
 お、落ち着け俺。よく周りを見て見ろ。あれ、あれも、これも、なんだか見覚えのあるものばかりだ。で、あの教師。あいつも見覚えあるような。あの黒ぶちメガネ、いや、名前は忘れたけど、あの顔は間違いなく覚えている。確か高校のころの数学の教師だ。よくみると、まわりのこいつらも、高三のころに同じクラスだったやつばかりじゃないか。思い出せないやつもいるが、たぶん間違いない。俺は今、高校で数学の授業を受けている。でも、一体なぜ。夢か、それともさっきのあの現象の続きなのか。それとも、俺死んじまって、ここは死後の世界とかいうところなのか。わからない、ほんとに何が起こっているんだ。
 そんなことを考えているうちに、授業は終了した。やはり俺は今、高校にいることは間違いないみたいだ。制服も着ているし。今はちょうど昼休みらしい。どうしたらいいのかとまどっていると、誰かが声をかけてきた。
「おい、坂田。授業中に寝てんじゃねえよ。」
こいつは、えーっと。
「ああ、悪い。ちょっと昨日寝不足だったんだ。」
まあ、本当だしな。
「あー、まあいいけどな。でも、お前そんなにしょっちゅう居眠りしてたら成績に響くぞ。ただでさえお前、俺たち受験生なんだからさ。」
受験。そういや、さっきの数学の教師もそんなこといってたな。
「瀬田のやつはその辺厳しいらしいからな。しっかりしとけよ。まあ、お前の成績なんて俺が知ったことじゃないけどな。」
ああ、そういやあいつの名前は瀬田だっけ。
「ああ、わかった。気をつける。」
「お前どこ目指してんだっけ。どこにしたって、内申書に響くまねだけはしないほうがいいぞ。あっと、ちょっとトイレいってくるわ。」
そういって、こいつは教室から出て行った。どうやら俺は受験生のくせに、しょっちゅういねむりを繰り返すダメ高校生らしい。そういや、高校のころしょっちゅういねむりしていたような。とりあえず、ここにいてもどうしようもない。とりあえず、外に出てみよう。そしたら何かわかるかもしれない。えっと、ここがもし俺の通ってた高校だとしたら、玄関は確かこっちだったはず。
 玄関をでてそとに出ようとしたところで、誰かに呼び止められた。
「まて。どこにいくんだ。」
「え、いやあ、昼飯のパンでも買いに行こうかと思いまして。」
こいつはたしか生活指導の教師だ。名前は知らないが。
「放課後までは学校から出るのは禁止だ。校則に書いてあるだろ。」
そうだったっけ。そういや、俺は休み時間に学校を抜け出したことがなかったな。だから知らなくて当然だ。
「あ、すいません。でも、今日は弁当忘れちゃって。」
「購買で買えばいいだろ。とにかく、放課後までは学校から出るなよ。いつでもここでは誰かが見張ってるからな。」
「はい、わかりました。そうします。」
そういって、俺はその場を離れた。とにかく、今はどうしようもない。放課後になるまで待つしかないか。あ、チャイムが鳴った。教室にもどってないと怪しまれるかもしれないから、とりあえずもどろう。

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