タイトル19

2005年4月9日 連載
 英語と国語の授業と、数学の補習を聞き流して、ようやく放課後。にしても退屈だったな。途中で何度眠りかけたことか。でもってほとんど忘れてるのかぜんぜん授業がわからない。まあいい、とにかくはやく学校から出よう。確かめないといけないことがたくさんある。
 学校から出ると、やっぱり俺の通っていた高校のある街とまったく同じだった。ただ、3年前につぶれたはずのスーパーがまだあった。そこのトイレの鏡で俺を見てみると、高校生のころのまだにきびづらの俺が映っていた。電気屋のテレビでは、もう終わっているはずの番組が流れていた。そして本屋の雑誌には、1999年5月号と書いてあった。これはつまり、俺は1999年にタイムスリップしたってことなんだろうか。で、体や立場まであのころの俺に戻ってしまったって事なのか。くそ、どうなってんだ。あー、もう仕方ない。とりあえず家に帰ろう。ここが本当にあのころのあの街なら、俺の家だってあるはずだ。
 俺の家は当たり前のように俺の家があるはずの場所にあった。今は5時だ。この時間じゃたしか誰もいないはずだ。そうだ、俺あのころたしか鍵を持たされてたんだっけ。教室から持ってきた俺のもののはずのバッグのなかをあさると、鍵はみつかった。ついでに財布もみつかった。五千円と少し、あとテレホンカードなんかが入っている。携帯もないと思ってさがしてみたけど、なかった。そういやあのころは俺は携帯なんてもっていなかった。たしかあのころは持ってるやつのほうが少なかったような気がする。そもそも禁止だったような。あとバッグに入っていたのは、教科書とノートと筆箱ぐらいだ。まさに中身は学生かばんだ。とりあえず鍵を開けて中に入ろう。
 家の中は想像通りそのままだった。家具の種類が今とは少し違うが、これはそのあと買い換えたからで、当時のままだ。俺の部屋に行ってみる。散らかったマンガ本と、テニスラケット、それに必勝とかかれた大きな紙。昔作ったプラモデルと旅行のお土産が飾ってある。本棚には、漫画や雑誌、そして教科書と参考書、問題集。あのころの俺の部屋と何も変わらない。ベッドにねころび、これからのことについて考えてみることにした。このまま時間がたてば、両親と妹が帰ってくるはずだ。
 とりあえず俺はタイムスリップした。で、あのころの俺になって高校に通ってる。今は高三の受験生だ。なぜかはさっぱりわからないが、これはもう認めるしかないだろう。あのころとまったく同じ状況だ。多分。これから俺はどうしたらいいんだろう。元の世界に戻ることが出来るんだろうか。あー、もうわかんね。そういや、星野はどうなったんだろう。俺と同じで、どこかにタイムスリップさせられたんだろうか。でも、星野と連絡とろうにも、電話番号携帯に記録させてたからまったく覚えてないんだよな。それ以外はなんもわかんねえし。畜生。

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