正義?

2005年5月18日 エッセイ
太平洋戦争のころ、僕たちの祖父や祖母の世代は、
鬼畜米英と教えられ、ほとんどの人がそれに従った。
そりゃ、そうじゃないと思う人もたくさんいただろうけど、
実際問題そのまま突き進んでしまった。
よくはわからないけど、人を憎むこと、
アメリカ人を憎むことに正当性が与えられてしまったことは事実だ。
その当時は、戦争反対の人たちは、非国民として捕らえられ、
悪人あつかいされた。

人間は正義というものに弱い。こっちが正義だといわれれば、
そちらについていく人がいても不思議ではない。

今現在世界で起こっていることは、たぶんこの当時の日本と同じような現象なのだろう。

ある宗教はほかの宗教を悪とみなしたり、
ある国は、歴史的事実のもと、ある国を悪とみなしたりしている。

悪を裁くのは正義だ。
9.11テロのとき有名になった『ジハード』という言葉。
これは聖戦という意味を持つ。
つまり、9.11テロの犯人にとって、
あの行為はアメリカを悪とみなす正義だったのだ。

あの事件の犯行の動機には、アメリカ軍がイスラムの聖地に
軍を駐留させ、なかなか退去しなかったことが大きいらしい。
もちろんその他さまざまざ原因があるだろうが。
でも、アメリカがなぜ駐留していたかといえば、
あのあたりは非常に危険な地帯で何が起こるかわからないので、
平和維持のために駐留していたのだろう。
アメリカ側から見れば、むしろむこうのためにやっていたことなのだ。

だが、そんなアメリカ軍の行動は、彼らには悪にしかうつらなかった。
自分たちの聖地を、悪人が銃を持っていつまでたっても動かない。

もう少しわかりやすい状況にしてみると、
コンビニに銃やナイフを持った集団が無断で入ってきて、
毎日毎日そこで生活をしているという状況に近い。
この集団の目的は、このコンビニが強盗に教われないように守ることなのだが、
実際やっていることは営業妨害に近い。
この場合、コンビニの店長は、警察に連絡するだろう。

これが巨大になったのがこの事件の大きな原因なのだ。

たしかに普通の人間の目で見れば、最悪の行為であり、
犯人は恐ろしい極悪人になるだろう。
人を殺すのは悪いことだという道徳があるなら、
それは悪いことだとわかるはずだ。

しかし、それはジハードと、正義の名の下にかき消された。
犯人は、犯人自身のなかでは、英雄になったのだ。

結局、今世界で起こっていることは、
ほとんどが正義対正義なんだとおもう。
だから、どんどん泥沼になっていくのだろう。

誰も彼もが自らは正しいと信じている。作られた正義の名の下で。

でも、そのために人が死ぬことは本当に正義といえるのだろうか。
絶対の正義なんてないかもしれない。
でも、それを考えてみることが本当に必要なことだとは思う。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索