と、ここまでしゃべったところで、急に電話にノイズが混じり始めた。
「ん、なんだ、おーい、星野。もしもーし。」
星野の声も、ノイズにまぎれて聞き取りにくくなった。そのとき、
「おいおい、うさんくさいとかいわないでくれよ。」
「ん、あれ、あれ、星野。」
急にやけにクリアーな声がきこえてきた。
「いやいや、違うよ。ひさしぶりだね、坂田君。といっても四日ぶりか。星野君のところにまだいって無かったのは勘弁してくれよ。なにしろ忙しくてね。今から星野君ところに行こうと思ってたら、君と電話してたんで、ちょっと割り込ませてもらったよ。」
この口調と、こんなことが出来るやつはひとりしかいない。
「てめえか。おどかすな。」
「ごめんごめん。あ、そうだ、おーい、星野君。」
ノイズが少しずつ弱くなり、星野の声が聞こえてきた。
「は、はい、もしもし。えっと、あなたが黒岩さん。」
「そうだよ。電話に割り込んでごめんね。ついでに坂田君とも話をしようと思ったんでね。」
「そんなことはいいから、はやく星野にこの状況の説明をしてやれ。元の時代に帰る方法もな。」
「おーこわ。はいはい、わかってるよ。はじめっからそのつもりさ。」
そのあと、黒岩は、星野に俺たちに説明したことを話した。ある程度は俺が話しておいたから、星野はわりとすんなり理解した、と思う。まあ、完璧じゃないだろうけど。人のことは言えないな。俺もだけど。今だってどこかで信じてないんだから。

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