ファンタジー

2005年12月1日 過去
人によって世界の見え方は違うんだなー、と思った。
ようは気の持ちようしだいということになるんだろうが、
どうにも僕にはそんな世界は現実に存在するとは思えない。
これまで20年以上生きてきてその存在を微塵も感じることのなかった世界の話。
ほとんどファンタジーみたいなものだ。

思えば似たようなことを高校のころ感じていたような気がする。
研修会か何かがあって、顔もよく知らない人が多い同級生と、
同じ大部屋で一泊二日ことになったとき、
その部屋で夜中中(よなかじゅう)他の人たちが思い出話をしているのを聞いていた。
もうほとんどどんな話をしていたか忘れたが、
よくある青春物語で、どこそこのだれだれが、
毎朝だれだれと一緒にジョギングしているとか、
だれだれが女の子と遊んでいるのを見たとか実は付き合っているとか、
あいつとあいつは仲が悪かったが、
あることをきっかけに親友になったとか、
なんかそんな感じの取り止めのない話でその人たちは盛り上がっていた。
時には知っている人の名前が混ざることもあった。

正直、そのときの僕にはそんな世界があるとはとても信じられなかった。
そんなもの、きれいな青春ドラマの中にしかないものだと思っていた。
僕の住んでいたような田舎ではなおさらである。
当時の僕は(今もたいして変わらないが)、
ろくでもない高校生で、毎日毎日退屈と勉強と、
自分の力のなさにへこんでいるだけのやつだった。

そんなときにそんな話を夜中中聞くことになったのだ。
ほとんど現実とは思えない話で、
よくできた小説のようにきれいな現実の青春物語。
自分と比較してへこまないほうがおかしい。

ただの学校と家との往復という生活を送らざるを得ない(と自分で決め付けた)
僕の生活とは絶対に交差することのないであろう生活。
こんな田舎じゃ何にもできないと思い込んでいた僕とは違い、
彼らは確実に『すばらしい青春』の中にいた。

僕は軽くへこみながら翌朝の研修を受け、家路に着いた。
その日は土砂降り。
僕の自転車は盗まれていて、
やっぱりそんな青春あるわけがないと、
半泣きになりながら家まで走った。

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